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皆さんこんにちは!
株式会社Akisai、更新担当の中西です。
~新聞の規格~
新聞は“好きに作ればいい”媒体ではありません。高速輪転印刷・大量配布・短納期という制約のもと、品質を安定させるための規格が緻密に整えられています。本稿では、制作や広告出稿に携わる方がまず押さえるべき規格を、実務の観点でわかりやすく整理します。本記事は一般的に広く用いられる基準・慣行をまとめたもので、最終的には各媒体社の入稿要項を優先してください。
新聞の「サイズ」は誌面設計の出発点。代表的な3種を押さえましょう。
ブランケット判:日本の一般的な朝刊サイズ。およそ 545×406mm 程度。見開きの迫力があり、全国紙・多くの地方紙が採用。
タブロイド判:およそ 406×273mm 程度。別刷り・地域面・フリーペーパーなどで多用。持ちやすく企画物に向く。
ベルリナー判:およそ 470×315mm 程度。欧州系で見られる中判。
数値は目安で、媒体・工場により数ミリ単位で差があります。トンボや塗り足しの扱いも媒体指定に従いましょう。
日本の新聞は「段」という言葉が2つの意味で使われるので混同注意。
広告の段:紙面の縦方向の高さ単位。
多くの媒体は紙面を全15段で管理(=全面広告は15段)。例)「5段×全幅」「7段×1/2」など。
記事の段組(カラム数):横方向の分割数。
紙面設計では5~7カラムが一般的。可読性・ジャンプ(行送り)・写真の比率に影響します。
デザイン実務のコツ
先に「広告段」を確定 → 文字級数・写真比率・見出しサイズを逆算。
見出しは“段落ち”を作らない/ジャンプを一定に。
細線・罫の最小線幅を守る(0.2~0.3mm程度を目安)。
新聞用紙は薄く・軽く・透けにくく・乾きやすいことが命。
坪量(g/㎡):おおむね 46~58g/㎡ がよく使われるレンジ。
白色度・不透明度:フルカラー普及に伴い、白色度は比較的高めが主流。不透明度は裏写り抑制に直結。
環境対応:古紙配合の活用、植物油インキの採用などが一般化。
→ 用紙特性は色設計(総インキ量・ドットゲイン)とセットで考えるのが鉄則。
新聞の多くはコールドセット・オフセット輪転。乾燥工程を設けないため、インキが紙に浸みやすい=商業印刷(チラシや雑誌)とは別の色設計が必要です。
網点線数:おおむね 80~100 lpi が目安(紙・工場により差)。
ドットゲイン(網点増大):大きめに見積もる前提でトーンカーブを作る。
総インキ量(TAC):過飽和を避けるため上限を設定(しっとりしやすい紙面で裏汚れの要因に)。
黒の扱い:細文字・罫はK版1色を基本に。合成黒(リッチブラック)はにじみ・見当ズレのリスク。
紙のにじみを前提に、“必要十分”を狙うのがコツ。
写真解像度:原寸で200~250dpiを目安(過度な高解像はかえって崩れる)。
二階調(モノクロロゴ・バーコード等):600~1200dpiを目安。
細線:0.2~0.3mm以上。ヘアラインは避ける。
色分解:新聞向けICC(ニュースプリント用プロファイル)で分解し、中間調の締まりを確保。
図表:シンプルな配色と太めの罫。小数点・単位・凡例を省かない。
新聞は“読ませる媒体”。可読性最優先でルール化します。
本文級数:媒体の指定に合わせる(無理な縮小禁止)。
行長:1行の文字数を抑え、視線の戻りを防ぐ。
字間・行間:本文は詰めすぎない。見出しは字間をやや広めに設定。
禁則処理:約物の行頭・行末を厳守。縦横混在時はルールを明文化。
UDフォント(可読性配慮書体)の採用を検討。高齢読者・弱視の方にも読みやすい紙面へ。
近年の主流はPDF/Xベースの入稿。新聞向けに最適化されたプロファイル・プリセット(N-PDFなど)が用意されているケースが多く、プリフライト(事前検証)は必須です。
対応形式:PDF/X-1a(透明効果を分割)/PDF/X-4(透明ライブ)のいずれかを媒体が指定。
フォント:原則埋め込み(一部媒体はアウトライン指示)。
カラーモード:CMYK(特色不可/あるいは限定許可)。
オーバープリント:黒文字は原則オン。他は意図しない乗算に注意。
トンボ・塗り足し:媒体の指定寸法どおり。
時間との戦いになる新聞制作こそ、手順の標準化が品質を救います。
プリフライト:フォント・画像解像度・カラースペース・総インキ量。
ソフト校正:100%表示でエッジ(細線・小号数・濃度ムラ)をチェック。
色校正:主要写真は新聞向けプロファイルで打ち出して確認。
版下チェック:版面ズレ(見当)、段回り、抜き・ヌキ抜けを確認。
訂正ルール:差し替え締切・連絡経路・責任者を明文化。
紙とWebを行き来する時代、メタデータの一貫性が価値を生みます。
見出し・サブ・リードの整合(クリックを誘うために意味を変えない)。
更新履歴の可視化(初報/続報の区別)。
写真の代替テキストや図表のデータ出典の記述。
構造化データ(記事種別・タグ)を紙面設計段階から意識。
写真が紙面で沈む → 新聞向けICCで再分解。中間調カーブと総インキ量を見直し。
細文字がつぶれる → K版1色・級数アップ・追い込み禁止。
PDFで色が変わる → 出力先プロファイルを統一。PDF/X-1aとX-4を混在させない。
段サイズの誤認 → 「広告の高さ=段」「記事の段組=カラム」をチームで共有。
どの判型か?(ブランケット/タブロイド/ベルリナー)
段(高さ)とカラム(横分割)の指定は?
用紙前提に合わせた網点・総インキ量になっているか?
画像は原寸200~250dpi、ロゴは600~1200dpi相当か?
PDF/Xの入稿条件(X-1a or X-4)、フォント埋め込みはOKか?
締切・差し替えのルールと連絡経路は明文化されているか?
媒体名/版建て:______
判型:______ 全15段/全幅(mm)
カラム数:____(1カラム幅:__mm)
広告サイズ:__段 × __(全幅/○分の○)
画像基準:写真 原寸__dpi/二階調__dpi
カラープロファイル:新聞向けICC(指定があれば記載)
総インキ量上限:__%(媒体基準)
入稿形式:PDF/X-__(トンボ・塗り足し__mm、フォント埋め込み)
校正方法:ソフト/色校(校正刷り条件を明記)
締切:初稿__、校了__、差し替え最終__
新聞の規格は「制約」ではなく、完成度を最短で安定させるための共通言語です。
判型→段・カラム→紙→色→画像→入稿→校正の順に上流から決めていくだけで、手戻りは劇的に減ります。まずは自社の標準プリセット(ICC/PDF/X/プリフライト)を整備し、チーム全員で同じ“ものさし”を使いましょう。
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